令和8年度診療報酬改定について

📄令和8年度 診療報酬改定について

12月24日の予算大臣折衝を踏まえ、令和8年度の診療報酬改定は以下のとおり決定しました。

令和8年度診療報酬改定は、当初予算段階から所要の歳出歳入を可能な限り織り込む運営への質的転換を図る観点に立ち、
「経済財政運営と改革の基本方針2025」及び「「強い経済」を実現する総合経済対策」に基づき実施されます。

主な方針は、施設類型ごとの費用構造や経営実態を踏まえた
経営改善従事者の処遇改善への的確な対応、
そして現役世代の保険料負担抑制のため、
後発医薬品への置換え適切な在宅医療の推進
調剤報酬の適正化長期処方・リフィル処方の取組強化などです。

具体的には、以下のとおりとし、その際、令和6年度診療報酬改定以降の経営環境の悪化を踏まえた緊急的な対応その他の特例的な措置を図ることとします。

💰1. 診療報酬本体改定率

📈 全体改定率: +3.09%
(令和8年度及び令和9年度の2年度平均)

令和8年度: +2.41%(国費2,348億円程度)

令和9年度: +3.77%

🗓️ 施行時期: 令和8年6月施行

✔️ 改定率の内訳

  • 👤 賃上げ分: +1.70%
    (2年度平均)

    • 令和8年度: +1.23%
    • 令和9年度: +2.18%
    💡 医療現場での生産性向上と併せ、令和8・9年度にそれぞれ
    +3.2%のベースアップ実現を支援(看護補助者・事務職員は5.7%)。賃上げ余力回復・確保のため、幅広い医療関係職種の賃上げを確実にすべく、
    賃上げ対応拡充時の特例的な対応として+0.28%を措置。

  • 💰 物価対応分: +0.76%
    (2年度平均)

    • 令和8年度: +0.55%
    • 令和9年度: +0.97%
    📈 令和8年度以降の物価上昇への対応として+0.62%を充当。【配分】病院+0.49%、医科診療所+0.10%、歯科診療所+0.02%、保険薬局+0.01%。

    特に高度機能医療を担う病院には、物価高の影響を踏まえ
    +0.14%を特例的な対応として措置。

  • 🍚 食費・光熱水費分: +0.09%
    🍽️ 入院時の食費基準額を40円/食光熱水費基準額を60円/日引き上げ。(患者負担も原則として同額引上げ。低所得者や指定難病患者等には配慮。)

  • 🚨 令和6年度以降の経営環境悪化への緊急対応分: +0.44%
    ⚠️ 施設類型ごとのメリハリを維持しつつ配分。【配分】病院+0.40%、医科診療所+0.02%、歯科診療所+0.01%、保険薬局+0.01%。

  • 🔽 効率化による調整分: ▲0.15%
    ♻️ 後発医薬品への置換え、在宅医療・訪問看護関係の評価適正化、
    長期処方・リフィル処方の取組強化などによる効率化。
  • その他の改定分: +0.25%

📊 各科改定率

医科 +0.28%
歯科 +0.31%
調剤 +0.08%

💊2. 薬価等改定率

薬価 ▲0.86%
(国費▲1,052億円程度)
材料価格 ▲0.01%
(国費▲11億円程度)
合計 ▲0.87%
(国費▲1,063億円程度)

🗓️ 施行時期: 令和8年4月施行
(材料価格は令和8年6月施行)

📜3. 診療報酬制度関連事項

  1. 🔄 令和9年度における更なる調整及び令和10年度以降の経済・物価動向等への対応の検討

    経済・物価動向が改定時の見通しから大きく変動し、医療機関の経営に支障が生じた場合、
    令和9年度予算編成で加減算を含め必要な調整を実施。
    令和10年度以降の対応についても検討を深めます。

  2. 💪 賃上げの実効性確保のための対応

    物価上昇を超える賃上げ(特に看護補助者・事務職員への上乗せ措置)の政策目的が確実に果たされるよう、
    幅広い医療関係職種において賃上げの実効性が確保される仕組みを構築し、実績を迅速かつ詳細に把握します。

  3. 📍 医師偏在対策のための対応

    改正医療法に基づき、外来医師過多区域での新規開業に対し、都道府県知事の要請に従わない場合に
    診療報酬上の減算措置を講じることで実効性を高めます。
    令和10年度改定でさらなるディスインセンティブ措置や財源確保について結論を得ます。

  4. 👁️ 更なる経営情報の見える化のための対応

    医療法人の経営情報データベース(MCDB)等を活用し、データ分析を精緻化。
    国民が納得できるよう、エビデンスに基づく改定を推進します。

    現在の課題: 診療所の「その他の医業費用」の実態が不明確、職種別給与・人数データ提出が任意。

    令和10年度改定に向け、MCDB及び医療経済実態調査の報告様式の精緻化を検討。
    MCDBにおける職種別の給与・人数の報告義務化を含め、令和8年中に結論を得ます。
    医療法人以外の経営情報連携やデータ分析・公表のあり方も検討します。

🧪4. 薬価制度関連事項

  1. 🔬 令和8年度薬価制度改革及び令和9年度の薬価改定の実施

    イノベーション推進(市場拡大再算定の類似品引下げ廃止、要件明確化)と
    医薬品安定供給確保(最低薬価の物価動向対応)を柱に改革。
    令和9年度薬価改定を着実に実施し、バランスの取れた対応を目指します。

  2. ⚖️ 費用対効果評価制度の更なる活用

    令和8年中に、客観的検証を踏まえ、有用性がなく費用増加となる医薬品に係る価格調整範囲の拡大を図ります。
    令和9年度薬価改定の中で、対象品目・価格調整範囲拡大、医療現場での普及など、制度発展に向けた結論を出します。